ワキガ

ワキガ手術・多汗症治療法と費用について

汗をかいたときに脇のニオイが気になり、汗をかくたび常に意識してしまう重症な方は、ワキガの手術という選択肢があります。

脇に常に意識が集中してしまうようになると、日常生活にも影響が出てしまい、自分らしく生きることができません。

ワキガ手術は自分にあった治療法やリスクをしっかり理解したうえで、選択するようにしましょう。
様々な術式があるワキガ治療、費用をみていきましょう。

Contents

ワキガ手術の効果とは

ワキガ手術効果

わきがは、アポクリン汗腺からの汗が、皮膚上の雑菌と混ざった時にニオイが発生します。

脇の下のアポクリン汗腺を取り除く手術によって、わきが臭いを軽減させることができます。

ワキガ手術の術式選びで注意すること

ワキガ手術再発

日本で行われているわきが・多汗症の手術方法は大きくわけて5~6つに分けられます。

一見特殊な術式もありますが、クリニックがつけた名前の場合で、これから紹介する5~6つ程度の術式に分類できます。

注意すべきは、手術で使う治療器具を少し変えただけでクリニック独自の方法と提示し、高い費用を提示しているクリニックもあるそうです。

私たちからすると「術式」という言葉は敷居が高いイメージがあり、新しい術式のほうが効果の高さを期待してしまう人が多いですが、

決して安くはない手術費ですから、手術方法やリスクを理解したうえで検討することをおすすめします。

ワキガ手術の種類とリスクについて

ワキガ手術リスク

剪除法 せんじょほう(直視下摘除法)

手術で脇汗の量を減らせる根本的な治療であるとされていて、ワキガ治療の中で唯一、健康保険の適用が認められています。※条件にもよる

剪除法は、脇のしわに沿って皮膚を5センチ~程度切り、アポクリン汗腺を目視で確認し、はさみで取り除きます。

片脇で手術時間が1時間程度かけて行われる手術です。

剪除法のメリットは、アポクリン汗腺を直接確認しながら取り除くため、80~90%と高い確率で取り除くことが可能のため、ニオイを大幅に軽減させることが可能です。

デメリットは、汗腺の切除は目視で行われるので汗腺を見分ける技術が必要となり、担当してもらう医師の経験や熟練度に依存する術式でもあります。

また、アポクリン汗腺の取り残しが比較的少ないため、効果が高く再発も少ないといわれていますが、
数センチ皮膚を切るので、切開した時の傷跡が残ってしまうのが欠点です。 傷は脇のしわになじんで1年ほどで薄くなるようですが、傷の治りが個人差があるので、
他人に脇の手術痕を気づかれないくらい、きれいに治るまでには数年を要する可能性があります。

傷跡が目立つようであれば、盛り上がった傷を切開し手術跡を目立たなくさせる手術もあります。

再発のリスクを抑えて効果を重視したいという方は、剪除法は検討にあがりますが、
逆に、傷跡が残るリスクを低くしたいという方は控えたほうがいいでしょう。 ※健康保険が適用できた場合、5万円程度で手術を受けることができますが、
2つの条件である「医師がワキガと診断する」「わきが治療を保険適用で行えるクリニック」を満たすことが必要です。

 

掻爬法 (そうはほう)

掻爬法は、小さく切った皮膚からスプーンのような器具(キューレット)を挿入し、皮膚の裏にあるアポクリン腺をかき出す手術です。

掻爬法のメリットは、手術時間が両脇で1時間程度と短く、切開する穴が小さいので、技術のある医師が行うと傷跡が残りにくくきれいに治ります。

術後に脇を圧迫する期間が3日と比較的短く、回復が早いです。

デメリットは、アポクリン腺が取れているかを目視で確認することができないため、わきが治療の効果としては確実性が少ないことです。
医師によりますが、50%のアポクリン汗腺を取り除くことが期待できるといわれています。

アポクリン腺をできるだけ取り除くよう過剰に器具の操作をすると、神経や血管などを傷つけてしまう可能性があり皮膚の壊死を生じさせ、結果として目立つ傷跡となる場合もあります。

アポクリン汗腺が取り除ける確実性を重視すると、中程度~重症ワキガの場合は検討には入らない術式でしょう。

逆に、傷跡を残さずに、日常生活に早く復帰したいという場合、検討する可能性のある治療法となります。

掻爬法の費用はすべて実費となり、約30万円程度の費用がかかってきます。

 

吸引法

吸引法は、小さく切開した皮膚から吸引する器具を入れて、アポクリン汗腺を吸い取る手術です。

シェーバー法、クワドラカット法など、別な呼称で呼ばれている場合もあります。

吸引法のメリットは、30分程度という短時間の手術が完了し、切開も1~2センチなので傷が比較的目立たないことです。

皮膚へのダメージを減らしながらアポクリン汗腺の除去が可能のため、傷跡を最小限にしてニオイの程度を抑えたいという場合、ワキガの程度が重症でない場合には検討にあがります。

デメリットは、掻爬法同様にアポクリン汗腺を直接確認することができないので、吸引の過程で取り残しが発生してしまうことです。

ワキガ、汗の程度は個人差がありますが、手術後は汗が軽減しても、わきがが再発してしまうことも多いようです。

吸引法の手術費用は約20万~程度かかってきます。

 

超音波法

超音波法は、小さく切開した皮膚から、超音波を発する器具を挿入し、アポクリン汗腺を超音波の振動や熱で焼いてから吸引する方法です。

超音波法のメリットは、30分程度で手術が完了し、皮膚を切開する範囲も吸引法と同様に小さくて済むので、傷跡が目立つ心配が少なくてすみます。

デメリットは、医師が直接汗腺を確認することができないことから、汗腺の取り残しが発生する確率が高いことです。

また、超音波法は熱が発生するため、皮膚が薄い人にとってはダメージとなる可能性があります。

超音波法の手術費用は約20万円~程度となります。

 

切除法

切除法は、古いすべての汗腺、毛根を深く取り除くため切除箇所が広く、術後の傷跡のリスクや皮膚のひきつれが発生するリスクが高いため、現在ではほとんど選択されることはありません。

複数の術式を組み合わせている場合もあり

ワキガ手術方法

一つの手術法のメリットを活かしながら、治療効果を補完するために組み合わせて治療を行っているクリニックもあります。

例えば、傷跡を目立たせないよう切開部分を短くしつつ、アポクリン汗腺の除去効果を高めるために、

吸引法やシェービング法と、剪除法を組み合わせた手術を行っているクリニックもあります。

ワキガ手術後のリスク

ワキガ手術リスク

手術後に血腫がたまりやすい

直視下摘除法、剪除法など脇の切開範囲が広い手術の場合、手術後に皮膚下に血液の塊が発生してしまう可能性が高いため、2週間程度は絶対安静が必要です。

皮膚下に血液が溜まってしまうと、血流が滞り、最悪の場合皮膚が壊死してしまうこともあります。

術後の痛みがででも、血腫が原因なのかは自分で判断はできず、縫合された部分を医師が観察しなければ分からないため
手術後に血腫ができやすい48時間は、入院するほうが安全といえるでしょう。

 

日常生活に支障がある

ダウンタイムが短いといわれる吸引法や超音波法と比較して、直接アポクリン汗腺を目視で取り除く直視下摘除法は、脇を切開する範囲が広くなるため、
術後2~4週間程度は肩を上げないよう、安静にし生活しなければいけません。

吸引法も傷は目立たなくなるとはいえ、やはり皮膚を切開するため、抜糸するまでは安静が必要です。

 

100%治るということは期待できない

施術は高い治療効果を期待できるとはいえ、100%汗腺を取りきる確実性はありません

医師の目視で汗腺を取り除く直視下摘除法、剪除法で80%~90%、その他の術式では50~60%程度のアポクリン腺を取り除けるといわれています。

 

皮膚のひきつれが起こる可能性がある

血流が悪くなることで、皮膚が引っ張られるようなひきつれが起こることもあります。

ひきつれが起こると、皮膚に痛みがあったり、関節の動きに支障をきたしたりするため、
傷跡を切り皮膚を入れ替えたり、ひきつれを改善するために皮膚移植をしたりする場合もあります。

 

傷跡やその付近の皮膚が色素沈着する可能性がある

術後、傷跡が赤みを帯びたり、色素沈着するリスクがあります。

通常は数年たつと薄くなっていき、傷跡はほぼ元の皮膚の色になじんでいくようですが、個人差は出てきてしまいます。

特に、皮膚が薄い人やメラニン色素の多い人は色素沈着してしまう可能性があったり、
手術後に脇を大きく動かしてしまった人は、傷が開いてしまうことがあるので患部が黒ずんでしまう可能性があります。

ワキガの手術に向かない人

ワキガ治療

手術をすれば根治すると思っている

どんな治療法でも、100%の確実性を手術に求めることはできません。

時間の経過によって、ニオイが再発する可能性がゼロではないことはクリニックからの説明があるはずです。

手術はあくまで、「ニオイが軽減されることによって、自分らしく生きれるための手段」という考えを受け入れられなければ、

100%根治を期待している人にとっては難しいでしょう。

 

再発や傷跡のリスクを受容できない

どんな手術でも、治療効果と引き換えに、リスクがつきます。

メスを入れると体が冷え、手術後は抵抗力や免疫力が落ちやすくなるといわれています。

体が冷えて体温が下がってしまうと血流が悪くなるため、個人差はありますが、傷の治癒力にも影響がでてくる可能性があるのです。

さらにアポクリン腺の腺根部分が取り切れていなかった場合は、アポクリン汗腺が再生される可能性もあるため、

手術後数か月~数年で、ニオイが再発するというリスクもあるのです。

このようなリスクに納得したうえで、ニオイを軽減させ、日常生活を送りたいという意思があれば手術は可能ですが、

リスクを受容できないのであれば、術後に辛い思いをする可能性があるので、手術をすぐに選択しないほうがいいでしょう。

まずは医師に聞いてみることが第一歩

ワキガ医者評判

そもそも、クリニックに行ったからといって、手術の選択を迫られることはなく、最終的には自分で決めるものです。

クリニックではまず、患者がどのような悩みをかかえていて、悩みのレベルはどの程度なのか診断し、患者に説明をしてくれます。

手術を検討しているのであれば、自分で調べたうえで、実際に病院でカウンセリングを受けることをおすすめします。

自分にあった手術法なのか、リスクはどのようなことが考えられるのか、教えてもらうことができます。

ワキガ手術が不安な方は、切らずにケアする方法を

ワキガ手術切らない

大前提として、手術で取り除く汗腺は、後天的に発生した腫瘍ではなく、必要に応じて生まれた正常な組織です。

汗腺のみを100%破壊、除去することはできないからこそ、患者は手術後のリスクを負うことになります。

様々な術式の違いはあっても、この大前提は変わることがありません。

できるだけ自分に合った治療効果とリスクである治療方法を選ぶことが大事です。

そのため、手術は合わないと判断することもまた正しい選択です。